薄刃包丁は野菜用として、むき物・かつらむきに最適な日本料理にはなくてはならない包丁です。
刃の形状としては直刃の包丁ですので、出来るだけ真っすぐに研いでください。
ですが、厳密には薄刃包丁は刃先が真直ぐで平らだと思われがちですが、ほんの少し「たいこ刃」になっている方が使いやすいと思います。
「たいこ刃」というのは、まな板に包丁の刃を当てたとき刃の刃元・刃先が微妙に浮いている状態の刃です。

丸くなった刃先を研ぐ

切れなくなった状態とは刃先が丸まった状態です。
まずを中砥石で刃を45度に立てて刃先のみをかえりがでるまで研いでいきます。
上記の通り薄刃包丁はたいこ刃に研ぎますので、この段階で刃の真ん中付近が少し膨らます様に調整してください。
 
刃を立てて研ぐと刃先に二段刃が出来ます。
この二段刃を基準にして研ぎ進めていきます。

荒砥石で二段刃を消していく

先程つけた二段刃は荒砥石で消えるまで研いでいきます。
切れ刃全体をムラなく研がないと型崩れになります。
この時に注意していただきたいのが、和包丁(本焼きを除く)は鋼と軟鉄の合わさった包丁ということです。
切れ刃部分も2/3は軟鉄です。そこを均一の力で研ごうとしますと軟鉄部分ばかりが研げてしまいしのぎ線が崩れてしまいます。
左手の指で刃を砥石に押し付けつつ、右手で刃先側に起こす力を入れ、互い力を喧嘩させつつ切れ刃全体を研ぎます。
薄刃包丁を研ぐ時に注意していただきたいのが、一回で切れ刃全体を研ごうとしないことです。
薄刃包丁は厚みが薄く、切れ刃が広いので一度で切れ刃全体を研ごうとするとなかなか刃先まで研げません。
研げたとしても刃が薄くなり過ぎます。
まずは切れ刃の半分から刃先を研いで刃を付けて、そのあとに切れ刃全体に砥石を当てて厚みを調整する研ぎ方がいいです。

中砥石で刃を付ける。

荒砥石で研いだ切れ刃の表面は非常に荒くなっています。
中砥石でその研ぎ傷が消えるまで研いでください。
刃が薄い状態ですので、かえりが簡単に出て刃が減ってしまいますので注意が必要です。
ここから本格的に刃を付けていきます。
荒砥の時と同じく、中砥石で刃を立てて軽く小刃引きをしてください。
この時も刃はたいこ刃を意識して真ん中を膨らませてください。
そしてこの小刃を消えるまで中砥石で研いでいきます。
薄刃包丁の鋼は思いのほか薄く研ぎにくく感じます。
ハマグリ刃をより意識しないと刃先に砥石は当たりにくく、うまく行かない場合は、切れ刃が広がり、鋼と地金の境目が減り、はまぐり刃と反対の状態になり境目がへこんでしまう事もあります。
薄刃包丁はたいこ刃ですが、他の包丁と比べるとほとんど直刃になっています。
直刃の包丁は刃線が非常に崩れやすく、刃先が揃えるのが難しいです。
研ぐ時は常に刃先をチェックしながら研いでください。

仕上げ砥石で研いでいく

より切れ味を良くするために仕上げ砥石で研いでいきます。
まずは切れ刃全体に出来た中砥石の研ぎ傷を仕上げ砥石で磨いていきます。
かえりが出るまで研がないでください。
 
中研ぎの時と同じように、仕上げ砥石で軽く小刃引きをします。
この小刃が消えるまで研いでください。
薄刃包丁はこの段階でハマグリ刃を意識して刃先を研いでみてください。

裏押しをする。

切れ刃を研いだ時に出たかえりを取るために裏面を研ぎます。
和包丁の研ぎで書きました通り、和包丁の裏は凹んで(裏スキ)おり簡単に刃先に当たる構造になっております。
使用砥石は仕上げ砥石だけで大丈夫です。
左手に持ち替えていただき、裏面全体を砥石に当ててください。
必ず裏面全体を砥石に当ててください、刃を起こして角度を付けないでください。
裏押しをするときは必ず水平な状態の砥石を使ってください。

小刃(糸刃)引きをする。

この時点で切れる刃は付いておりますが、この状態は刃先が薄すぎて刃こぼれがしやすくなります。
刃に厚みを持たせる為45度に刃を立てて小刃(糸刃)引きをしてださい。
使用する砥石は仕上げ砥石を使います。
中砥石などを使用しますと、小刃が厚くなり過ぎて切れ味が悪くなります。
刃を45度くらいに立てて、刃先全体をかえりがでるまで軽く研いでください。
後は[5]の時と同じ要領で裏押しをしてください。