コラム
玉研ぎ包丁の凹みは意味がある?メリットデメリットと注意すべき点
包丁の「凹み」は意味がある?
玉研ぎ包丁のメリット・デメリットとは
「精肉用の包丁やサーモンナイフにある、あのボコボコした凹みって何?」
「食材がくっつかないって聞くけど、実際のところはどうなの?」
そんな疑問をお持ちの方へ。今回は、『玉研ぎ』の隠された機能と、選ぶ前に知っておきたい注意点を詳しく解説します。
目次
1. 玉研ぎとは?

玉研ぎとは、刀身の側面に交互に凹みをつけた加工のことです。
玉研ぎの他に「ディンプル」「ピット」「サーモン型」などと呼ばれることもあります。
堺一文字光秀の玉研ぎは四十年以上も昔にさかのぼり、当時の店長がGラインシリーズに玉研ぎを入れたのが始まりで、今も変わらずファンの多いロングセラー品になっています。
2. 玉研ぎの最大のメリット
玉研ぎの凸凹がもたらす最大のメリットは「切り離れの良さ」になります。
「空気」が食材を剥がす:
食材が包丁にくっつくのは、刀身と食材の間が真空に近い状態になるからです。凹みがあることで、そこに「空気」が入り込み、食材がスルリと離れてくれます。
作業効率の劇的な向上:
特に脂の多い肉や、水分の多い野菜、サーモンのような身の柔らかい魚をスライスする際、リズムを崩さずに切り進めることができます。
メリット:張り付きによるストレスを軽減し、スムーズに均一の薄さで切ることが出来ます。
3. 使う前に知っておきたい「デメリット」
非常に便利な玉研ぎ加工ですが、長く使う道具として見ると、いくつか注意すべき点があります。
| 注意点 | 内容と対策 |
|---|---|
| 研ぎ方 |
凹みの位置まで研ぎ進むと… 刃を起こして研ぎ進めると、刃先が凹みの部分に到達すると、刃線が波打ってきます。 また片刃研ぎではなく両刃研ぎで研ぎ続ける必要もあります。 |
| 衛生管理 |
凹みの汚れや錆びに注意。 凹み部分に食材のカスや脂が残りやすく、汚れや錆びの原因になるためスポンジで凹みの部分も丁寧に洗う必要があります。 |
4. 検証:大根で見る「切り離れ」の差
玉研ぎの有無が実際の作業にどのような差をもたらすか、水分の多い「大根」を例に比較検証を行いました。
玉研ぎなしの包丁
切った大根と刃に密着したまま、そのまま上部へとせり上がります。
数枚切るごとに刀に食材で覆われ、切り口が重くなるため、都度手作業で食材を剥がす動作が必要となります。
玉研ぎあり包丁
切ると同時に凹み部分から空気が入るため、大根が刃に張り付くことなく離れていきます。
そのため刃の入りもスムーズで切りやすいです。
5. 検証2:ローストビーフのスライスにおける「スムーズな切り進み」
野菜以上に「くっつき」が深刻なのが、脂身の多い肉です。
動画内でも触れられている通り、特に薄切り(スライス)などでは、玉研ぎの有無が切り進めたときにスムーズさが異なります。
玉研ぎなしの包丁
肉の断面が刀に吸い付くように密着します。
包丁を引き切るまで密着しているため、切ったときに重みを感じやすいです。
玉研ぎあり包丁
凹み部分が空気の通り道となり、脂身の多い断面でも張り付きが最小限に抑えられます。
肉が切っている際中に離れていくため、スムーズに切り進めていけます。
6.検証から分かった玉研ぎの優位性
二つの検証を通じて明らかになったのは、玉研ぎ加工が単なる「張り付きにくい」以外にも様々なメリットを調理作業にもたらしていることです。
-
作業の連続性: 食材を刀身から剥がす手間が省けるため、スライス動作を中断することなく一定のリズムで切っていける。
-
抵抗少ない切り込み: 食材の密着による「ブレーキ」がかからないため、刃の入りが軽く、スムーズに切り進めていける。
- 仕上がりの安定性: 食材が包丁に引きずられないため、均一な厚みに切り分けることが出来る。
7. どんな人に向いている包丁なの?
上記の検証結果を踏まえ、玉研ぎ包丁はその特性を最大限に活かせる以下のような方に特におすすめしています。
こんな方におすすめ
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精肉・鮮魚のプロ: 脂身や水分の多い食材を大量に、かつスピーディーに効率よく切りたい方。
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薄切りを多用する方: 野菜や肉などを、一定の厚みで均一に美しく切り分けたい方。
- 食材の張り付きにストレスを感じている方: 調理中に手を止めて食材を剥がす手間を省き、スムーズで快適な切れ味を維持したい方。




