コラム
研ぎ師が語る「小刃」とは? 理想の角度は?小刃のメリットとデメリットを解説します。|堺一文字光秀
切れ味と寿命を左右する。
研ぎ師が教える「小刃(こば)付け」のとは?
「一生懸命研いだのに、すぐに切れなくなる…」
「刃先がすぐに欠けてしまう…」
そんな悩みを解決する鍵が、刃先のわずかな数ミリの『小刃(こば)』にあります。
今回は、堺一文字光秀の研ぎ師が必ず実践する、理想の刃先の作り方を徹底解説します。
目次
1. 「小刃」とは何か?

小刃(こば)とは、包丁の刃先に作る「小さな二段刃」のことです。
目では白い線にしか見えないほどわずかな段刃ですが、この小刃が包丁の「性格」を決定づけます。
2. なぜ小刃が必要。その役割とは?
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| ①刃先の強度を上げる | 刃先まで研ぎ切った刃先は実はかなり薄い状態です。 その刃切ると少しの衝撃で刃こぼれする可能性があります。 それを防ぐために小刃で刃先を丈夫にします。 |
| ②均一な切れ味 | 刃を起こして刃先のみを研ぐので、より均一な切れ味に仕上げることが出来ます。 |
| ③日常の研ぎ直しに | 切れない状態とは、刃先が丸まった状態です。 刃を起こして丸まった刃先のみを研ぐ、小刃付けは日常の研ぎに便利です。 |
💡 プロのアドバイス:小刃付けだけで研ぎ続けるのは要注意!
小刃付けだけで研ぎ続けるとと二段刃はどんどん厚くなります。
厚くなった二段刃は、切れ味がどんどん悪くなり、刃持ちも良くない上、いずれ切れ味が全く鋭くなくなります。
そうなる前に刃を薄めて、小刃が厚くなるのを防ぎましょう。
3. 「小刃」と「糸刃」の違い
刃先の二段刃と小刃と呼んでいますが、もう一つ「糸刃」と呼ばれる場合もあります。
二種類の違いは、二段刃の厚みになります。
-
小刃(こば): 家庭用の三徳包丁や牛刀で、耐久性を重視する場合に最適です。
-
糸刃(いとは): 極めて細い小刃。鋭さを優先したい和包丁に向いています。
💡 プロのアドバイス:切り方によって使い分けを
「鋭い切れ味」が「良い刃」とは限りません。
切れ味を優先する刺身包丁などは糸刃がおすすめですが、出刃包丁など荒い使い方をする場合は耐久性のある小刃にするなど、切り方によって使い分けをお勧めします。
4. 小刃なしはだめなの?
私たちの研ぎに対する考え方からしますと小刃なしはお勧めしません。
上にも書いています通り小刃は切る上でとても重要な役割があります。
もちろん必ずダメというわけではないですし、研ぎ直し希望の方でたまに小刃なしと依頼される方もいらっしゃいますので、違いを理解されているなら問題ないと思います。
| 小刃なし | デメリット |
|---|---|
| ①刃こぼれしやすい | 小刃がない刃先は、極限まで薄くなっているため、少しの衝撃で刃が負けて欠ける可能性が高いです。 |
| ②持続性が低い | 研いだ直後の切れ味は鋭いですが、持続性が低くすぐに切れ味が落ちてしまいます。 |
| ③張り付きやすい | 小刃がないことで、刃先に空間がなく切った食材に張り付きやすくなる場合が多いです。 |
5. 理想の小刃の角度は何度?
和包丁:
30~40度の範囲でお好みの角度を決めてください。
刃先の薄さの状態によって変わりますが、約40度がバランスが良いです。
片刃の和包丁の裏面は0度(平面)で必ず研ぐようにしてください。
洋包丁:
洋包丁は両刃のため両側からの小刃の合計で考える必要があります。
例:表20度、裏20度で計40度の小刃になります。
ただ私たちがメインで販売している全鋼などは均等な刃の形状ではないので、小刃も合わせて角度を変えています。
例:表35度、裏15度で計40度の小刃になります。
角度を鋭角(寝かす)ほど小刃は薄く、する切れ味が鋭くなる反面、刃こぼれしやすなり、角度が鈍角(起こす)ほど頑丈になり、欠けにくくなります。
6. 実践!簡単にできる小刃の付け方
- 砥石の面直し: 砥石が凹んでいると決まった角度に当たらないので、面直しして砥石の平面にします。
- 角度を決める: 和包丁は約40度、洋包丁は約20度の角度を決めて刃を起こします。
- 刃先を数回研ぐ: 力を抜き、刃先を砥石に優しく当てて2〜3回スライドするように動かします。
- 裏を研ぐ: 和包丁は0度(平面)、洋包丁は20度にして裏側を同じように砥石に当ててば終了です。
7. まとめ:包丁を「大事に育てる」ための第一歩
小刃付けをマスターすれば、刃に耐久性が増し「刃こぼれ」が減り、「切れ味の持続性」が増します。
また日常の研ぎ直しにも便利で、小刃付けによって包丁研ぎの様々な応用が利くため、包丁をより大事に育てていくことが出来ます。
あなたの包丁にも、ぜひ包丁を研ぐ際に「小刃付け」を取り入れてみてください。

